タイ自分史リターンズ

【自分史第10話】社会の底辺で生きるタイ人女がゴーゴーバーで働き始める理由 

2018年4月8日

以下の記事は、2013年2月頃の回想録です。

今回は、ちょっと番外編です。

ゴーゴー嬢であるメイが、ゴーゴーバーで働くことになった背景について書いておこうと思います。

タイ人女性と言えども、夜の世界に足を踏み入れるということは、各人それなりの理由があってのこと。

メイと僕が出会った頃、彼女はゴーゴーバーで働き始めてすでに3年程が経過していました。

3年というと、もう仕事上で経験するような修羅場は大抵経験している中堅処と言っていいでしょう。

けれども、そんなメイにも夜の仕事を選んだ最初の動機というものは当然、存在していたのです。

メイが夜の世界に足を踏み入れた一番の理由、それはまさに「夢と金」だったんです。

メイが生まれた故郷はタイ北部の小さな田舎町でした。

家族は、両親と彼女本人、妹、弟の合計5人家族。

両親は小さな米農家をやっていたのですが、現金収入と呼べるものは毎月5,000バーツ程度だったとのこと。

このため、メイが小さい頃から、お金にはかなり不自由していたそうです。

多分、小さいながらにお金に対する欲求不満はメイの心に植え付けられていたのでしょう。

これは、後に僕がメイの田舎へと行って判明するのですが、メイの実家というのは、本当にオンボロで、何もないような家でした。

平屋建てで、父親が建てたそうでしたが、家と呼ぶにはとてもお粗末なものでしたね。

掘立小屋のような、周りの家の中でも断トツにボロい家でした。

ただ、そんな古びたメイの実家の隣近所を見渡すと異様な光景を確認することが出来るんです。

そこには明らかに、周りの田舎町風景とは場違いな、大豪邸がそびえ立っていました。

メイにその大豪邸について聞いたところ、どうやら、それらの家々はファラン(白人)達が彼らのタイ人妻のために、田舎に建ててやった家なのだと言っていました。

イサーンなどでは、外国人との国際結婚によって町に生じる経済効果が、その町の経済基盤を支えているとよく耳にしていましたが、まさに僕が見たその光景は底辺タイ人にとって、タイ・ドリームそのものだったというわけです。

メイ曰く、小さい頃から隣近所にそびえ立つ豪邸を毎日見つめ、将来自分もこんな大きな家を外国人の旦那さんに建ててもらうのだと念じていたそうです。

その大豪邸に住むタイ人嫁の家族達は、金払いもよく、毎晩のように家を解放して宴会を開いていました。

未だに外人の旦那から金が送られてきているのでしょう。

しかし、家の出資者であろうファランの姿を田舎で見ることはほとんどありませんでした。

多分、旦那であるファラン達は祖国若しくはバンコクなりでせっせと働いているのだと思います。

金を出しているファラン達は、その金が毎日、湯水のごとく無駄遣いされていることを知っているのでしょうかね。

しかも、タイ人嫁の多くは田舎でタイ人男性の愛人を作って毎晩遊んでいます。

もう、アッパレです。

このように幼い頃からお金に対して相当なコンプレックスを持ってきたメイにとって、夜の世界へ足を踏み入れるということは、もはや必然だったのでしょう。

高校を中途退学した彼女は、仕事の合間に職業訓練学校に通うという条件の下、両親からバンコクで働きながら暮らすことの許可を得ます。

両親からの許しを得たメイは、さっそく、学生時代からの先輩を頼りバンコクへ上京。

姉貴分である先輩のアパートに住まわせて貰いながら、取りあえず、アルバイトを始めたそうです。

また、この頃はアルバイトと同時に、土日のみ職業訓練学校にも通い、両親との約束も守っていたんだとか。

とにかく、こうしてメイのバンコク生活がスタートしたわけです。

ですが、言わずもがな、彼女のアルバイト代は雀の涙ほどの収入。

頑張っても、頑張っても、いつまでも大金を手にすることなんてできませんでした。

そんな時、メイはバンコクのとある繁華街で働く高校時代の同級生と、街で偶然出会うこととなります。

まさに、この出会いは、メイにとって運命の転機でした。

メイはその同級生から、夜の仕事に関して様々な話を聞きます。

そして、メイが小さな時から毎日見せられていた、あの田舎の大豪邸についても、その真実を知ることとなります。

外国人と田舎のタイ人娘が出会える場所があって、その場所で働いてさえ居れば、彼女にも外国人と一緒になれるチャンスがあるということを知り、彼女は狂喜乱舞しました。

かくして、メイは夜の世界への一歩を踏み出します。

はじめの内は、恐怖心もあったそうですが、それよりもお金に対する欲が圧倒的に勝ったそうです。

両親にはもちろん内緒でした。

夜の仕事を始めて程なくすると、メイは職業訓練学校へ行くことをやめてしまいます。

夜型の生活に慣れてしまい、いくら週末だけとはいえ、通うのが億劫になってしまったのでした。

もちろん、学校をやめたことも両親には内緒。

暫くすると、まとまったお金が貯まるようになり、メイは実家で盛大に振る舞ったそうです。

仕事の内容について、両親にはバレていないとメイは言い張っていましたが、果たしてそうでしょうか。

とにかくも、メイは現金収入が大幅に増えたことにより、家族の中で一番稼ぐ存在へと成り上がっていきました。

彼女自身、高校もまともに出ていない人間が、親孝行できるようになったのだから万々歳だと、大いに喜びました。

しかし、この急激な変化は程なくして、メイの家族を少しづつ変えていくこととなります。

メイが夜の仕事を始めて1年程経過した頃でした。

彼女の家族に異変が起き始めます。

まず、父親が急に働くことをやめてしまいます。

今まで一度も田んぼ仕事を怠けることのなかった父親が、急に仕事を放棄するようになってしまったのです。

しかも、毎日昼間から飲んだり、夜中は仲間内でトランプ賭博に興じるようになったりと、どんどん生活が荒れていきます。

多分、メイから毎月仕送りを貰えるようになって、まじめに汗水垂らして働くのが馬鹿らしくなってしまったのでしょうね。

父親は40歳代そこそこなのですが、まさにアーリーリタイア状態になってしまいました。

母親は母親で、新しく商売を始めたいだとか言って、メイに対して頻繁に金の催促をするようになります。

両親に金の無心をされて、そう易々と断れるようなタイ人はなかなかいません。

当然、メイは両親の支援をしようと必死になります。

すると、そんなメイの苦労を知ってか知らずか、 母親はメイにこんな相談を持ちかけます。

父親が田んぼ仕事に精が出ないのは、車が無いからだと・・・。

確かに、ピックアップトラックがあれば、捗る仕事もあるのかもしれません。

しかし、余りにも理不尽な両親の頼み。

しかし、メイはこの願いを受け入れて、ピックアップトラックの購入を決めてしまいます。

僕はこの話を彼女から聞いた時、確信しましたね。

メイの両親は、彼女の仕事がどんなものなのか、絶対に知っていると。

理不尽な家族は何も、両親だけではありませんでした。

実は、メイがバンコクへと旅立ってからすぐに、メイの弟と妹はともに、恋人と子供を作っていたのです。

しかし、弟はそのまま恋人と結婚するも、その後、恋人に逃げられ、現在無職。

また、妹は妹で、旦那はいるものの極貧なため、旦那から生活費を一切入れて貰えないという悲惨な状況でした。

そんな状況の中、彼らが金回りの良い姉貴を野放しにして置くはずもありません。

彼らは事あるごとに、姉であるメイを頼るようになります。

特に弟のほうは本当に質が悪かったですね。

無職かつギャンブル好きのため、金に対してのだらしなさでは天下一品でした。

しかも、金のもつれから、よく村の若い人間達と喧嘩騒ぎを起こし病院送りになる始末。

病院代はいつも、メイのところに請求が来ていました。

妹のほうも、子供を産んだばかりで一文無し。

しかも、一度も仕事をしたことが無い子だったため、お金も無く無職。

当然毎月の生活費は姉に頼っていました。

ということで、家族全員がほぼ無職状態へと転落という有様。

まあ、こんな形でとにかく、田舎の家族全員がメイの稼ぎに頼る状況へと変わっていったのでした。

「外国人と出会い、結婚をして、豪邸を建ててもらう」という、 言わば夢のために始めた夜の仕事。

それが今となっては、田舎の家族の生活を支えるために、逃れられない仕事へと変わってしまったのです。

こんなメイの境遇を聞いた当時、僕は本当に居た堪れなくなってしまいました。

なぜなら、自分は無職で、単なる旅行者の身。

そんな自分が彼女の夢である豪邸を、タイの田舎に建ててやることなど到底不可能。

しかし、メイは僕が外国人であるというだけで、多分田舎に家を建てるぐらいの財力があると勘違いしているはずです。

彼女がそんな期待の胸の内を、僕に打ち明けようとするのも時間の問題でした。

そうなる前に、早く事実を言わなくてはならない。

けれどもその時の自分に、その事実を面と向かって口にすることなど到底できませんでした。

そう、自分に財力が無いという事実を打ち明けるよりも、メイを我が物にし続けていたいという欲求が勝ってしまっていたのです。

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シパタイ

このサイトは、2014年9月~2016年9月までのおよそ2年間に渡って、わたくし、シパタイが運営しておりました『タイで起業や就職をするも失敗続きな男のブログ』の続編ブログです。ちなみに、過去の自分史については多少加筆修正し、『自分史リターンズ』として再編集の上、当ブログにて掲載中です。それではみなさん、どうぞよろしくお願いいたします。

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