以下の記事は、2013年5月頃についての回想録です。
メイとの電話の中でとっさに再度の訪タイを決めた僕は、慌ててその準備を始めることになります。
まず航空券。
これについては、電話の中でメイに急かされて購入したために既に手元にありました。
それにしても、まさかこんなにも早くタイに再訪することになろうとは・・・。
実際、訪タイの日取りは5月上旬に設定していたため、計算をしてみると次の出国日は前回帰国後から僅か約1カ月ほどしか経っていませんでした。
メイと最後に別れたときには、「次に会えるのは、本当にいつになるか分からない!」なんて言ってだいぶしんみりしていたくせに・・・。
2人の再会は、案外呆気なく果たされようとしていたのです。
それから、タイへ行くためのお金の準備も急いでやりました。
何しろ、チケットを購入してから出国までの期間は、1週間ちょっとしかありませんでしたから。
自分の貯金を改めて計算して、タイ行きのためにいくら持っていくべきかを真剣に考えたのです。
で、最終的に用意したのが、自分の貯金全額130万のうちの80万円。
残る50万円に関しては、念のため日本の口座にそのまま留めておくことにしました。
実をいうと、この時の航空券も、僕は2ヵ月後に復路を設定してあったのです。
もし万が一、タイで有り金の80万を全部擦ってしまったとしても、日本に帰りさえすれば何とかなるという「逃げ道」を、僕はこの期に及んでも作り上げてしまっていたのでした。
やはり、全財産を持っていくところまではどうしても自分自身を振り切れずにいた結果だったのです。
と言う訳で、お金の準備も終わり、次にやったのは身の回りの整理整頓!
実家に置いてあった私物についても大量に処分したのでした。
会社を辞めてタイに行くことを決めた時は、ほとんど身の回りの物全てに関して、一人暮らしをしていたアパートから実家へと運び、その後は帰国するまでほったらかしの状態が続いていたんです。
でも一応、タイで生活をしていくことが決まったからには、自分の荷物についても綺麗にしておかなければなりません。
なんたって、この頃はもう日本に対する未練も全くありませんでしたから。
ですからとにかく、タイで必要になりそうな物以外はほとんど捨てました。
テレビに冷蔵庫、洗濯機、ベッド、その他の家具類などなど・・・。
良い運動になりました。
逆に、スーツやネクタイ、ワイシャツ、パソコン、靴、その他のビジネス用品などは、出来る限りタイへ持って行くスーツケースの中に押し込めました。
何しろ、向こうに行ってからは出来る限り節約したかったですから。
ビジネスをしていく上で必要そうなものは、可能な限り日本で使っていたものを持って行こうと考えたわけです。
こんなふうにして一斉に片づけたおかげで、日本における僕の私物と言う物もほとんど無くなりました。
やはり、思い入れのある物がある程度整理されると、気持ちもさっぱりするもんです。
自分の物が無くなった実家の部屋を改めて見渡した瞬間、余計に早くタイへと飛び立って行きたくなりました。
そうして迎えた出発当日の朝。
この日も、彼女とは普通にLINEでやり取りをしていました。
で、僕が今からタイに向けて飛行機に乗るぞと言うと、メイは大変に驚いた様子を見せるんです。
はっきり言って、彼女は最後の最後まで僕の言葉を信じていなかったということだったのでしょう。
なんだか、僕もさすがに呆れてしまいました。
まあ一応、スワンナプーム国際空港まで迎えに来てくれるとは言っていたので少し安心しましたが、それにしてもこの先の事を考えると、少々不安にもなってしまいました。
「メイと自分との間に、心のすれ違いのようなものが生じてはいないだろうか・・・」
たった1ヵ月とは言え、向こうは毎晩違う男と接する仕事をしているわけですから、当然心配の種は尽きません。
果たして、メイはどんな姿でもって、自分と対面してくれるのか・・・。
期待と不安の入り混じる心境の中、僕はバンコクの地へと再び降り立つことになるのでした。